個人事業主住宅ローン審査

「個人事業主は住宅ローンの借り入れができない?」

「審査に通るのが難しいって本当?」

と気になっている方もいるでしょう。

結論から言うと、個人事業主は通常の会社員と比べて住宅ローンの審査に通りにくい傾向があります。しかし、絶対に審査に通らないと言うわけではなく、注意点やコツにさえ気をつければ個人事業主でも住宅ローンを借り入れられます。

今回は、個人事業主の方に向けて以下の事柄を解説します。

  • 個人事業主が審査に通りにくい理由
  • 住宅ローン借り入れ時の注意点
  • 審査に通るためのコツ

今回の記事を読めば、住宅ローンの審査に向けて何をすれば良いのかはっきりわかるようになりますよ。これから住宅ローンを借りたいと考えているならぜひ参考にしてくださいね。

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1.個人事業主が住宅ローンの審査に通りにくい理由

個人事業主が住宅ローンの審査に通りにくい理由として、主に収入が安定しにくいというものが挙げられます。

会社員の場合、毎月安定した給料が会社から支払われます。仕事をやめたりクビになったりしない限り収入は続くので、住宅ローンの返済に対する信頼性が高いと言えます。

一方で、個人事業主の場合、安定した給料が手に入るとは限りません。売上や事業成績によって収入にばらつきが生じやすいでしょう。病気や怪我で仕事ができなくなってしまうと、収入がゼロになる危険性もあります。

そのため、住宅ローンを貸し出している機関からみると、収入に安定性がなく、返済が滞る可能性があるとみなされてしまうのです。

特に事業に赤字があるときは、住宅ローンの審査に落ちてしまう可能性が高くなります。

2.個人事業主が住宅ローンを借り入れる時の注意点

個人事業主が住宅ローンを借り入れる時には、以下の5つの点に注意しましょう。

  • 金融機関が個人事業主を対象にしているか
  • 年収や事業年数
  • 3年分の確定申告の準備
  • 節税額
  • 住宅の一部を事業に使うかどうか

いずれの項目も、審査において非常に重要になってきます。必ず確認をして、知識をつけた状態で申し込むようにしてください。

(1)個人事業主を対象にしていない金融機関もある

金融機関によっては、そもそも個人事業主を住宅ローンの貸し出し相手の対象にしていないところもあります。そういったところに借り入れを申し込んでも、貸し出してはくれないでしょう。

(2)年収や事業年数によって制限があることも

金融機関が個人事業主に住宅ローンを貸し出すとき、まずみられるのが収入額です。多くの金融機関は、年収額を審査条件にしています。そのため、一定額以上の年収がないと審査に通らないかもしれません。

事業年数は3年以上必要なことが多いです。審査時には最低3年分の収入が確認されます。収入額は3年分の平均ではなく最低額を基準にして審査されることもあります。これは金融機関によって異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

また、3年以内に赤字の年があると審査に通らない可能性が高くなるので、気をつけてください。

(3)直近3年分の確定申告書が必要

個人事業主が住宅ローンの審査をする場合、直近3年分の確定申告が必要になります。なぜなら、確定申告に書かれている所得額をもとにして審査が行われるからです。

審査に申し込む前には、必ず確定申告書を用意しておくようにしましょう。また、所得額や納税額に不備がないかも確認しておくと安心です。

もし、今の段階で過去3年分の収入や確定申告書の内容に不安があるのなら、3年後の借入を目標にして今から取り組んでいくのが良いでしょう。

※必要年数は金融機関により異なるため、個別に確認しましょう。

(4)節税のしすぎに気をつけよう

個人事業主は、支払う税金を少なくするために経費を多く計上することができます。いわゆる節税ですが、住宅ローンを借りたい時には節税のしすぎに気をつけなければなりません。

経費を多く計上する節税をすると、所得が少なくなってしまいます。先述しましたが、住宅ローンの審査は確定申告での所得額を基準に行われます。なので、収入が十分にあったとしても、確定申告状の所得額が少ないと収入が足りないとみなされてしまうのです。

もし、審査に通ったとしても、借りられる額が少なかったり金利が悪かったりしてしまうかもしれません。住宅ローンを借りたい場合は、節税をしすぎないようにしましょう。

ただし、銀行によっては個人事業主の減価償却や青色申告特別控除などを経費ではなく所得としてみなしてくれるところもあります。こういったところであれば、その分所得額が増えて審査に通りやすくなるかもしれません。

(5)住宅の一部を事業に使う場合は要相談

住宅の一部を事業用として使用したいなら注意が必要です。

住宅ローンはあくまでも住宅の購入に必要な金額を借りられる制度です。そのため、事業用の建物には使用できません。

住宅の一部を事業用として使いたいのであれば、住宅分は住宅ローン、事業部分は事業資金として借り入れるようにしましょう。

ただし、金融機関によっては床面積の50%を住居として使用するのであれば、まとめて住宅ローンとして申請できるところもあります。住宅ローンを申し込む前に、事業用がどこまで認められるか確認するようにしてください。

3.審査に通るためのコツ

個人事業主が審査に通るためにはいくつかのコツがあります。主なコツは以下の5つです。

  • 所得額を増やす
  • 税金や保険を滞納しない
  • 事業資金の借入額を減らす
  • 自己資金を増やす
  • 個人事業主向けの商品を選ぶ

これらのコツを全て実行する必要はありませんが、併用することで審査に通る確率は上がります。自分にできるものから取り入れてみると良いでしょう。

(1)所得額を増やす

個人事業主が住宅ローンを利用するときの最大の懸念が所得額です。特に、所得額が少なかったり不安定だったりすると、一気に借り入れられる可能性が下がります。

そのため、まずは所得額を増やすことから始めてみてください。事業をうまく運用したり成績を伸ばしたりするのが一番です。

収入が増えなくても所得を増やす方法はあります。経費に計上する金額を減らせば良いのです。節税として経費に計上する額を減らせば額面上の所得は増えます。

過去の確定申告は修正することができます。過去3年のうち、経費を計上しすぎて所得が少ない年があれば修正すると良いでしょう。

その分支払う税金も増えてしまいますが、住宅ローンで借りる金額や金利条件を考えればむしろプラスに働くはずです。

(2)税金や保険料を滞納しない

税金や保険料などを滞納していると、一気に審査に通る可能性が低くなります。なぜなら、万が一住宅ローンを滞納して金融機関がお金を回収することになった場合、税金や保険料の滞納があるとそちらの返済が優先されてしまうからです。金融機関からすると、税金を滞納している人からは全額を徴収できない可能性があると見えてしまうのです。

そのため、税金や保険料に滞納がある場合は、すぐに支払うようにしてください。

金融機関の多くが、審査時に納税証明書の提出を求めてきます。税金の滞納があるとすぐにバレてしまうでしょう。

また、税金や保険料だけでなく、事業に関する借入やクレジットカードなどの滞納も確認されます。一度滞納してしまうと信用情報機関の記録に残ってしまいます。

将来的に住宅ローンを借りたいのであれば普段から注意するようにしましょう。滞納が記録に残っているか不安な方は、一度信用情報機関に問い合わせてみることをお勧めします。

(3)事業資金の借入額を確認する

事業資金を借り入れているなら、借入額を確認しておきましょう。

住宅ローンの審査では、事業資金の借り入れは借金と同じとみなされます。借入額が多いと、その分住宅ローンで借り入れられる金額が少なくなったりそもそも審査に通らなくなったりします。

確実に住宅ローンを借りるためにも、前もって事業資金をある程度返済しておくと良いでしょう。少しでも借入額を減らすことで、審査に通りやすくなります。

(4)自己資金額を多めにする

住宅を購入する時には、一定額の自己資金額を用意する必要があります。この自己資金額の割合を大きくして、住宅ローンで借りる金額を少なくすれば審査にも通りやすくなるでしょう。

なぜなら、借入額を少なくすればその分所得に対する返済額も少なくなるからです。ある程度収入が不安定でも返済額が少なければ、十分に返済能力があるとみなされます。

(5)個人事業主向けの商品を選ぶ

金融機関の中には、個人事業主に向けた住宅ローンを提供しているところもあります。

例えばスルガ銀行には、個人事業主専用の商品があります。個人事業主の所得や経営状況に合わせて柔軟に貸し出しをしてくれ、住宅の中に店舗がある物件にも利用できます。事業年数や所得額の申込制限もないため、比較的誰でも申請できるでしょう。

こういった商品であれば、通常の住宅ローンの審査に通らない人でも借り入れができるかもしれません。興味がある方はぜひ申し込んでみてください。

4.どうしても審査に通らない場合はフラット35を活用しよう

どうしても審査に通らないのであれば、フラット35の利用がおすすめです。

フラット35は住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している住宅ローンです。その名の通り、住宅購入に必要なお金を最大35年間全期間固定金利で借りられます。

フラット35は、個人事業主であっても会社員と変わりなく借りられます。1年分の所得だけで審査してもらえるので、仮に過去3年の中に赤字の年があったとしても前の年でなければ問題ありません。仮に前の年だったとしても、今年赤字にならないようにしたうえで来年に申し込めば大丈夫です。

5.まとめ

今回の記事では、個人事業主が住宅ローンを借りる際の注意点やコツについて解説しました。

個人事業主は会社員と違って安定した収入がないとみなされやすいです。そのため、始業成績を黒字にしたり所得を増やしたりして、金融機関にアピールするようにしましょう。

他にも、滞納を避けたり個人事業主に優しい金融機関を選ぶなどの対策をすることで、審査に通る確率を上げることができます。少しでも良い条件で借り入れるためにも、できることは取り組んでいくようにしましょう。

また、どうしても住宅ローンが借りられないのであればフラット35がおすすめです。フラット35は一般の住宅ローンよりも審査基準が易しいため、個人事業主でも借り入れられる可能性が高いです。

ぜひ、今回の記事を参考にして、住宅ローンの借り入れを目指してみてくださいね。

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