家を買った後に青ざめて現実を直視せざるを得なくなるのは、クレジットカードの請求額が増えていたり、毎月の支出額が大幅に増えたと気が付いた時です。家計見直しは、現在の家計状況を把握し、改善点を見つけ、効果的に家計を管理するプロセスと言えます。この記事では、そのステップをわかりやすく説明します。

住宅購入後の支出増と家計改善

1. 家計の見直しが必要と感じる

  • ポイントは?: 家計の支出が増えたり、貯金ができなかったり、将来の不安を感じ始めます。「今の家計を見直す必要があるかも」と考え始めます。
  • どうやって進める?: 家計簿をつけ始めたり、家計管理アプリを使って現状を把握しようとします。また、家族で話し合って、どこに問題があるのかを探り始めます。

住宅購入後の家計見直しは、家計改善のタイミングとしてはベスト3に入ります。家計改善は、外圧がないと「いつかやろう」となりがちですが、家を買ったタイミングでクレジットカードの請求額や住宅ローン返済で銀行の残高の減り方を見ると、「思ってたより減るのが早い!」と焦る人も出てくると思います。

実は、このようなプレッシャーがかかる状態は、行動に移すチャンスです。先送り癖のある人でも、住宅ローンの支払いができなくなれば、せっかく買った家を売ることになります。

まずは住宅ローン以外の支出のうち、何の支払いが多いかを確認しましょう。

2. 現在の家計状況を把握する

  • ポイントは?: 家計の収支を細かく記録し、収入と支出のバランスを確認します。どこでお金を使っているのか、無駄な支出はないかをチェックします。
  • どうやって進める?: 家計簿やアプリに記録したデータを分析し、毎月の固定費や変動費、貯蓄額を一覧にします。クレジットカードの利用明細や、銀行の取引履歴も確認します。

家計を把握するには家計簿を作成する必要があります。家計簿は手書きでもアプリでも構いませんが、抜け漏れがないようにネットバンキングとクレジットカードを連携してアプリで管理することをお勧めします。

手書きの家計簿はただ記入してあることが多く「分析に適していません」分析に適していない資料を見ても、どこが改善ポイントかが見えてきません。しいて言えば手書きで家計簿をつけている人をアプリで自動化してもらうことが第一歩です。

家計簿を作成すると、支出が多い理由がわかります。●月は旅行に行った。●月は友人の結婚式、●月はプレゼントを買った、●月は子どものおもちゃを買った。非日常の支出もたくさんあれば平準化することができます。今月だけ支出が増えたのではなく、毎月何らかの突発的な事柄があって、支出が増えるのです。減らすべきは自分で管理できない突発的な支出ではなく、日常の支出です。

3. 目標を設定する

  • ポイントは?: 家計改善のために、具体的な目標を設定します。例えば、「毎月○円貯金する」や「支出を○%削減する」といった目標です。
  • どうやって進める?: 家族で話し合い、短期的な目標(例:半年以内に●円貯める)と長期的な目標(例:●歳の時点で●万円貯める)を設定します。

収入が多く自然にお金が貯まっていく高所得・低支出の家計を除けば、多くの人は貯めるための努力が必要です。やみくもに支出を下げても後日リバウンドで支出が増えがちです。

家計改善で重要なことは、Why何のために、Whenいつまでに、HowMuchいくら、を考えること。まずはWhyが無ければ続きません。WhenとHowMuchがないと貯蓄のペースが正しいかわかりません。合格目標に向かって一段一段のぼっていく受験勉強と同じです。

支出が減ると、将来必要な資金が少なくて済みます。支出が多いと将来必要となる金額が多くなります。支出を減らすと資産運用のような効果が得られることは知られていません。

4. 支出の見直しと削減計画

  • ポイントは?: 必要な支出と不必要な支出を仕分けし、削減できる部分を見つけます。固定費(家賃、光熱費、保険料など)や変動費(食費、娯楽費など)の削減を検討します。
  • どうやって進める?: 例えば、電気やガスのプランを見直す、無駄遣いを減らす、保険の見直しを行うなどの具体的な削減策を立てます。購買習慣や日常生活のルーティンも見直します。

家を買ったばかりでは住宅ローンの見直しは難しいでしょう。他に手を付けられる固定費には保険と携帯電話があります。

家を買うタイミングで保険を見直す人が多いのですが、家を買うことを前提とせずに保険に加入している人が多いのが残念なところです。葬儀代という名目で加入した必要性の薄い保険。大した効果が無いのに自分が心配だからと加入した医療保険。保険を減らせば家計が楽になるのに、保険と住宅購入を別物だと考えてしまうと無駄な支出が増えます。

家を買ったら団信分の保険を減らせる可能性があります。ガン団信に加入したらガン保険や就労不能保険を減らしてもいいかもしれません。

そもそも、必要性の薄い保険に加入する余力があれば、自宅の予算を増やすことができていたはずです。子どもの教育資金を増やすこともできたでしょう。老後の準備もできるはずです。

携帯電話はドコモ、au、ソフトバンクなどのキャリアから、ahamo、UQモバイル、Yahoo!モバイル、楽天モバイルなどの安いプランに切り替えることを検討しましょう。携帯電話は長期契約よりも短期契約の方がキャンペーン付与によるメリットが大きいため、定期的に携帯会社を変更することをお勧めします。

面倒ではありますが、毎日の食費を管理することに比べれば、キャリアチェンジは半年ごと、一年に一度取り組めば済みます。その都度キャッシュバックなどを受取ることで実質的な通信費を大幅に抑えることができます。

他にも、ウォーターサーバー、スポーツクラブなどのサブスク支出を減らすことができないか検討しましょう。家計見直しの鉄則は、固定費から見直すことです。変動費はたゆまぬ努力が必要なため、普通の人には継続できません。節約が誰でもできるようになったら、お金に困る人は出てこなくなりますから、今の世の中お金に困らない人はごく一部です。ほとんどの人が節約を継続することは難しいことがわかります。

5. 節約方法を実践する(実行フェーズ)

  • ポイントは?: 立てた削減計画を実行に移します。毎月の支出を意識的にコントロールし、無駄を省いて貯蓄に回すお金を増やします。
  • どうやって進める?: 支出削減のために、クーポンの利用やポイント還元サービスを活用する、自炊を増やす、または定期的に支出を見直すなどの具体的な行動を取り入れます。

支出を減らす際に、見栄やプライドは必要ありません。スポーツクラブでランニングせず、近くをランニングできないでしょうか。ウォーターサーバーは量販店でミネラルウォーターをまとめて買ってはダメでしょうか。自分へのご褒美は減らせないでしょうか。子どもの習い事は子どもが心から望んでいるのでしょうか。

多くの家庭で2~3万円の支出削減の余地はあります。問題はやるかどうか、やる気になるかどうかです。家を買ったタイミングだからこそ、背水の陣で家計改善に取り組むことができるのです。

子どもが大きくなって、学費の準備ができず教育ローンや奨学金のお世話になることを避けたいのであれば、子どもが小さいうちが家計を見直す最適な時期です。

6. 結果を確認し、家計の改善を継続する

  • ポイントは?: 実際に節約を実践してどれだけ家計が改善したかを確認します。目標に対して進捗をチェックし、必要に応じて計画を修正します。
  • どうやって進める?: 毎月の家計簿を見直し、改善点があれば修正します。貯蓄額が増えているか、支出が削減されているかを確認し、目標達成に向けて続けられる工夫を考えます。

家計の見直しは1か月だけなら誰でもできます。半年、1年、2年・・・継続が難しいのです。ただ家計の見直しは、コーチのような立場の人から継続的な支援が必要です。

継続的な支援は無料のFP相談では期待できませんので、有料のFPサービスを利用する必要がありそうです。ただ有料のFPサービスを使うと、費用が増えてしまうので注意が必要です。

7. 習慣化と次の目標設定

  • ポイントは?: 家計の見直しを習慣化し、節約や貯蓄が無理なく続けられるようにします。次のステップとして、さらに大きな目標を設定することも考えます。
  • どうやって進める?: 家計管理を日常の一部として定着させ、さらなる貯蓄や投資、住宅ローンの繰上げ返済など、次の目標に向けた準備を進めます。

家計支出の削減は習慣化すれば持続しやすくなります。習慣には3か月から6か月程度は最低期間として見積もっておく必要があります。水泳教室に通って泳げるようになるのにかなり時間がかかるように、短期間で習慣化したければ家計改善の回数、PDCAの回転数を短い期間で回す必要があります。

ある程度習慣化できたら、次は資産運用に進んでいくといいでしょう。支出の改善は長期的な家計改善のはじめの一歩です。一度きりではなく、定期的に行うことで、長期的に安定した家計管理が可能になります。